第35回埼玉県写真サロン入賞作品

2018年

特選

2018年 写真サロン

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講評  熊切 大輔(写真家)

t01.jpg埼玉県知事賞(ニコン賞) 「息のむ秋景」 髙橋 洋司

 スケールの大きい作品となりました。複数の額縁効果で表現した秋の絶景。その額縁の形状も美しく奥行き感も表現できています。わずかに入った人物のシルエットもスパイスとなって効いておりバランスの取れた作品となりました。


t02.jpg全日写連関東本部長賞(アサヒカメラ賞) 「回想」 小山 憲一

 絵画のような水面の写り込みがとても美しい作品です。水面に浮かぶ石像と本物の鯉の共演がコミカルに見えます。しかしその配置が絶妙で、特に鯉の赤色が画面全体をしめる役割を果たしています。何かの物語を見ているような気分になりました。


t03.jpg朝日新聞さいたま総局長賞 「散歩道」 木部 敬子

 鶴の親子のなんとものんびりした、そして家族の温かみを感じる作品です。しかし、それだけでは面白くなかったでしょう。畑が描くストライプが気持ちよくデザインとして画面をシャープに埋め尽くし、非日常感を演出することが出来ました。


t04.jpg全日写連埼玉県本部長賞 「祝の日」 高田 泰子

 昨今の成人の日の風景は一昔前のそれとは大きく様相を変えました。しかしいつの時代も過去になればそう言われて来たのです。本作も全く現代風な成人をなんとも言えない脱力感で表現しました。人が時代を表す、そんな作品です。


t05.jpg全日写連埼玉県本部委員長賞 「夜曲」 杉本 純子

 植物の写真は花などは王道の表現がありますが、草木の葉は被写体そのものに大きな特徴がなく表現が難しいものです。そんな葉っぱをなんとも魅力的に美しく写し出すことができました。シャドウ部を多く使うことによって光を強調出来ました。


t06.jpgさいたま市長賞 「四丁目」 佐藤 文男

 都市の風景と自然の風景の大きな違いはシャープな反射が存在しているところです。それを上手く使えばCGなどの合成をせずとも不思議な二重セカイを生み出すことが出来ます。写り込みと実像のバランスがとても気持ちよく混ざっています。


t07.jpg埼玉県議会議長賞 「一人暮らし」 乙部 エミ

 組写真はついつい起承転結で説明したくなりますが、本作は一人暮らしの寂しい空気感を淡々と組み合わすことが出来ました。静寂の中でわずかに聞こえる音が感じられました。被写体との距離感も上手く取れていて、4枚以上に情報が多く感じられます。


t08.jpg埼玉県教育長賞 「清涼の飛沫」 天野 宏

 非常にシンプルですが様々な要素が多重奏のように上手く折り重なっているような作品です。色味のバランスも良く、しかし派手ではない落ち着いた表現は日本の自然風景の湿度多さと涼し気な気温まで感じさせてくれるようです。


t09.jpgさいたま市議会議長賞 「精魂込めて」 戸津井 直次郎

 職人は魅力的な被写体です。この様な被写体は多くの人がモノクロで捉えがちですがカラーでの表現が良かったようです。タングステンの温かみのある照明が人柄まで浮かび上がらせているようにも感じます。力強い作品となりました。


t10.jpgさいたま市教育長賞 「雪帽子のお地蔵さん」 丹生 義一

 お地蔵様はフオトジェニックな被写体ですが、ストレートに撮ってしまうと個性が出なくなります。そこにもう一つ要素を加えられるかがポイントですが、雪を上手く使いました。その純白が真っ赤な帽子をより引き立て印象的な被写体に変えることが出来ました。


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