講評 熊切 圭介(写真家)
埼玉県知事賞 「何が見えるかな」 若林 博和
好奇心旺盛な、子供の遊び心が伝わってくる楽しい作品だ。寒い冬の朝、近くにあった水溜りの氷をはがし、所々に開いた穴から覗いている子供の表情が可愛らしい、氷を通して見た友達の姿は、何時もと変わって見えたのかもしれない。
全日写連関東本部長賞 「ジャンプ」 岡部 美智子
全く絵柄は異なるが、ビートルズが横断歩道を歩いている有名な写真を思い出した。広い横断歩道を若者達が、少しずつタイミングをズラしてジャンプしている姿に、音楽的イメージが色濃く出ている。逆光で撮影して影を生かしたアイデアが素晴らしい。
朝日新聞さいたま総局長賞 「光跡」 古峰 昌子
ライトアップされたゲートブリッジの上を、羽田空港に離着陸する航空機の光跡を上手に撮影している、光の線が直線状ではなく、点滅しているイメージを表現しているので、画面にある種のリズム感がある。
全日写連埼玉県本部長賞 「女帝」 佐々木 勝男
クモの巣に、無数の昆虫の羽根のようなものが付いていて、ちょっと異様な光景だ。上にいる「女帝」と、下の方にひっかかっている枯れ葉の位置が的確なので、いっそう自然の世界の面白さが伝わってくる。細やかな観察が生きた。
全日写連埼玉県本部委員長賞 「まあ、抑えて抑えて」 節政 大生
先ずタイトルの面白さがある。伽藍守護の神である仁王が、持ち場を離れて動き出したかのような画面が凄ましい。常識的な仁王様でなく、想像力を刺激する作品になったのは、手を強調したアングルと、空の雲の形だ、インパクトの強い作品だ。
さいたま市長賞 「声が光となって」 岡安 宏典
タイトルの通り、少女の声が光になって飛び去るような、ファンタスティックのようなイメージがある、暗い背景を選んで撮影しているので、シャボン玉の色や形がよく表現されている。画面構成を含め、状況をよく観察した結果生まれた作品だ。
埼玉県議会議長賞 「天空を焦がす」 齊藤 昭雄
野焼きの光景を逆光で撮影することで、煙が様々に変化する様子を映像化している。さながら龍が昇天するかのような煙の形と、鈍く光る太陽を組み合わせることで、想像力を刺激する作品になった。
埼玉県教育長賞 「午後の時間」 田村 真由美
今回は組み写真の応募が少なかったが、その中でこの4枚組の作品が際立っていた。特に強いテーマではないが、午後の時間の中に、安らぎを感じる。穏やかさを感じる午後という時間を設定し、日常の暮らしの中に子供の姿を柔らかい日差しで捉えている。
さいたま市議会議長賞 「感謝」 青木 秀茂
若い僧侶達が、厳しい条件の中で心を清めて修行に励んでいる様子を、窓から差し込む朝の光の中で捉えている。冷たさを感じる床の反射光を巧みに画面に取り入れている。その光景を、やや距離を取って撮影しているところに、作者の慎ましさを感じる。
さいたま市教育長賞 「宙からの使者」 杉本 純子
なんとも不思議な作品だ。ガラスの球体状の物の上を、尺取虫のような虫が、特有な形で動いている。画面が宇宙をイメージするような色調で、マクロの世界とミクロの世界が一緒になったような、不思議な空間を作り出している。
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