第31回埼玉県写真サロン入賞作品

2014年

準特選

2014年 写真サロン

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講評 芳賀 健二 (ニコンイメージングジャパン、ニコンカレッジ) 

j1.jpg「クマノミ ファミリー」 保科 幸裕

 「おやっ」という意外性があります。撮影のときに工夫されたのか、編集でつくられたのかわかりませんが、上下のそれぞれの様子を、一枚の写真の中にボケの効果を生かしながら、メリハリをつけたことで成功しています。


j2.jpg「秋風のように」 伊藤 拓

 盛秋の紅葉の中を走る電車の様子を、流し撮りのテクニックで上手に表現しています。撮り慣れた技術の確かさを感じる一枚だと思います。タイトルも的確でイメージがふくらみます。


j3.jpg「笑みを浮かべて」 大坪 弘人

 東南アジアでの作品のようですが、何か昔の日本の農家を思い出させてくれるような懐かしさも感じます。微笑んだいい瞬間を捉えており、撮られた人とのコミュニケーションがうまく取れていることが伺えます。


j4.jpg「朝光浴びて」 戸津井 直次郎

 「光と影の芸術」ともいわれる写真ですが、紅葉にちょうど光が当たった時を逃がさなかったのがいいと思います。背景の滝の流れとの組み合わせも絶妙で、光と色に関する感覚の素晴らしさが伝わってきます。


j5.jpg「夜の川面」 新井 房子

 時々見かける被写体なのですが、今回の作品は撮影された時間帯の妙でしょう。手前の鯉のぼりに当てた弱めの光と背景とのバランスも良く、華やかな色合いの中にも、しっとりした日本の色使いの美しさのようなものを感じます。


j6.jpg「黄金の舞」 桜井 恒夫

こうすれば撮れるということが頭でわかっていても、今回のような瞬間をきちんと押さえるには、相当の枚数を撮り、場数を踏まないと難しいと思います。やや赤みのついた光線が新鮮で、より雰囲気を盛り上げてくれました。


j7.jpg「ミニチュア ランド」 野崎 英一

 タイトル通り何か模型のように見えてしまうのは、このような場所を見つけた写真の目と、それを強調するような光の具合、露出のかけ方などが的確だったからでしょう。人間の存在が何か小さく見えてしまいます。


j8.jpg「帆曳船落陽」 奈良 節夫

 風景写真は朝夕がシャッターチャンスともいわれますが、今回のようなスナップ系の写真でも同じかもしれません。落陽の赤みと、青みの残る空の色合いとの対比が印象的です。人物や船のシルエットも効果的でした。


j9.jpg「海辺の花」 新井 傳

 アロエの花の赤が、光を当てたことでより一層引き立ちました。同時に雲で変化のある空の面積を大きく扱ったことで、より広がり感やスケール感がでています。広角レンズでの画角のひろさを生かした作品です。


j10.jpg「霧の朝」 稲村 弭

 まずこの色合いに魅かれました。いろいろ工夫されたのだと思いますが、やや現実離れをした、イメージに近い作品です。出会った風景をストレートに表現するだけでなく、あまり違和感のない程度に編集するというのも表現のひとつです。


 講評 戸井田武彦 (全日本写真連盟 理事)

j11.jpg「初春の渓谷」 沖舘 宏

 新緑の季節に紅葉のような物が流れているありえない風景だが、見ていて気を引きつける程、魅力ある綺麗な絵に仕上がっている点が素晴らしく評価された。


j13.jpg「雨あがり」 内田 憲治

 見逃してしまいそうな風景だが、湖面の紅葉と舟上の水溜りに映った美しい紅葉が、秋の深まりを感じさせる。雨あがりの水溜りを見逃さず捉え、舟を斜めに入れた構図も素晴らしい。


j14.jpg「雪国の暮らし」 鈴木 きみ子

 雪が止んで屋根の雪下ろしに始まる雪国の生活は筆舌に尽くしがたいものがある。買物に出掛けるのか老婆が歩行器を押し雪道を行く、真ん中の凍み大根等、雪国の当り前の風景を上手く組み素晴らしい。


j15.jpg「彼女へのプレゼント」 竹内 永三

 精悍な雄鷲が獲った獲物をプレゼントする姿を上手く捉えられている。飛んできた勢いに少し避けている雌がユーモラスにも見える。羽の一枚一枚に気持ちが込められている様子が表現され構図も素晴らしい。


j16.jpg「追憶」 弘中 美智子

 アルミ製の冷たさと透明傘を持つ赤い服の子をバランス良く配置し、追憶の中の不思議な空間を表現して成功している。モノクロの感じも良く出ており赤の強調が生かされており、上手な作品である。


j17.jpg「雪稜」 山田 道也

 千メートル以上の雪稜を3人の登山者が、一歩一歩登っている感じが良く出ている。雪肌のこぶや青の濃淡が、雪山の厳しさまでも表現している。人物の配置も素晴らしくバランスの良い作品になっている。


j18.jpg「夕陽の宿」 大法 弘

 夕焼けの空を背景に野鳥が高圧線で休んでいる場面をダイレクトに捉えており、鳥達の群声が聞こえてくる。夕焼けの太陽が沈んでから撮った事で、鳥が強調され素晴らしい。


j19.jpg「沐浴」 山下 智子

 南国の暑さに耐えかね頭から水をかけ、流れ落ちる水が体を伝い、全ての汚れも洗い流れているようだ。縦位置でスラリとした男性を上手く捉えており、水飛沫が一段と涼しくさせる素晴らしい写真である。


j20.jpg「垂氷の涙」 佐々木 俊一

 つららが溶け出して、表面張力により丸くなり落ちた瞬間を捉えており、水滴は凸レンズになっており後方の風景が上下逆さまに見えこの水滴は宇宙から見る地球の様に見えて素晴らしい作品になっている。


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