第39回埼玉県写真サロン入賞作品

2022年

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第39回埼玉県写真サロン入賞作品


 応募者数 343名
 応募点数 単写真 690点 組写真 67点 合計 757点

 審査員 榎並悦子(写真家・関東本部委員)、山口百希(関東本部委員)

■講評

榎並悦子

 長引くコロナ禍の影響でしょう、昨年よりも応募総数はやや減少しましたが、内容的にはみなさんの写真熱が感じられる力作揃いでした。マスク生活で人とのコミュニケーションが取りづらい昨今ですが、その分、自然に目を向けた作品がかなり充実していたと思います。
 上位作品は見る側を引き込む力があり、作者のいわんとすることがよく感じられた点も素晴らしかったと思います。自然の営みの中に作者が見いだした発見や驚きが、的確にとらえられていました。また、人物スナップでは周囲のロケーションを生かした作画のひらめきに目を見張るものがあり感心しました。
 審査をしていて少し残念に思ったことは、プリントの仕上げがよくない作品もあったことです。作品の出来映えを左右する仕上げにも注意されるといいですね。組写真は枚数、サイズを吟味して欲しいと思いました。合成等の加工もOKですので、今後はアート系の作品にも期待を寄せたいと思います。
 同じ被写体でも、その日の天候や時間帯によって見え方、感じ方が大きく変わります。何度通っても同じ光景はありません。すべてのものに出会いの一瞬があるからこそ、写真の楽しさも尽きないのだと思います。撮ることもそうですが、見る楽しさも写真の魅力です。選ばれた傑作の数々を、写真展会場でじっくりと味わっていただけたら幸いです。
 

最優秀賞

「ボラの大群」 小杉要

水鳥の泳ぎに合わせて水中の黒いものが路を作るようにさっと動いたようです。巨大なかたまりのように見えるものの正体はボラ。水の透明感、水中に差し込む光もこの作品の魅力です。巧みなレンズワークで、鳥がボラをつかまえたところをアップで見せているのもうまいと思いました。(榎並)



朝日新聞社賞

「息ピッタリ!」澤谷静子

猿と人間の動きがシンクロした一瞬を、タイミングよくとらえました。フレーミングにも無駄がありません。半逆光で、フワフワの毛が浮き立っています。(山口)



全日写連賞

「特等席」 冨田雅子

卓越した切取りが見事で、目を引きました。日本一の大きさを誇る茨城県石岡市の獅子頭のようです。口の中は展望台になっているようですが、手前の階段を入れなかったことで、驚きが強調されました。子どもがいることでいかに巨大であるかもよくわかりますが、晴れた日の光の状態がドラマチックでした。桜の枝のバランスも素晴らしい。季節感をも盛り込んだ傑作です。 (榎並)



審査員特別賞

「舞い上がれ」 黒川律子

ご自身で栽培されているのでしょうか、とても立派なキノコです。背景とライティングを工夫してキノコから立ち上る胞子を、ダイナミックにとらえています。室内撮影だからこそですね。色彩も多彩で、オーロラのように揺れる胞子の美しさに目を奪われました。キノコだけでなく周囲に草花を配した点も効果的でした。(榎並)



関東本部委員長賞

「体験広場」 中嶋幸晴

建物の壁面に描かれた白いペイントが目を引きますが、それと呼応するように、屋上では女生徒が今まさにシュートを決めようとしています。ねらっていてもこのポーズが決まる瞬間はなかなかないでしょう。シンプルにまとめたことで、まるでコマーシャルのような洗練された画となりました。縦構図ならではの見応えある作品です。(榎並)



埼玉県本部長賞

「若竹の精霊 」小河美弘

竹の若芽であるタケノコは、成長スピードが非常に速いそうです。この4枚組は、タケノコの成長具合が感じ取れるような構成となっています。同じ個体をとらえたものかはわかりませんが、成長に従って皮がはがれていく様子などを丹念にとらえています。タイトルからも作者の視点が強く感じられました。(榎並)



埼玉県本部委員長賞

「驚愕」 渡辺俊夫

二重の虹と稲妻を一枚の写真に納めて、迫力があります。音が聞こえてきそうな雷の動と虹の静、ギザギザの閃光と柔らかな曲線のコントラストも面白いです。(山口)



優秀賞

「異常接近」 中田好忠

鯉が亀に異常接近してくるように見える瞬間を、思い切りの良いアップでとらえました。両者の位置関係が絶妙で、水中の鯉の顔もよく見えています。(山口)




「人なきまたぎの里」 大坪弘人

人跡絶えた里の荒涼とした様子が、3枚の写真からよく伝わってきます。車のドアハンドルに挟まった鹿の角や室内に残された藁道具が、マタギの生活を思わせます。(山口)




「蓮の詩」 小山憲一

一枚でも作品として十分成立するような写真を4枚組んで、蓮を生き生きと表現しました。望遠レンズの特性を活かし、光をうまく使っています。(山口)


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