「祭りの怪」 山口靕一 ちょっとドキッとさせられる祭りのスナップ。 半纏の形の妙ですが、頭が消えてしまったかのようです。 前を歩く人との連携ともとれます。 全て偶然の産物ですが、そこに反応し素早くシャッターを押した作者のフットワークが良かったと思います。
「茅野輪くぐり」 設楽怜司 こうした結果を想像し、カメラをセットし、実際に動いて撮影している。その全体のコンセプトが良かったと思います。聖域の厳かさと日没後の色合いがしっかり表現されていますし、光跡も綺麗に写っています。 写真に計画性も必要なことがよくわかります。
「コロナの中で」 乙部エミ 今も続くコロナ禍の日常をそれぞれ丹念によく捉えられています。 家族写真でありながら時代の記憶として普遍的な写真になっていくことでしょう。 3と4はほぼ後ろ姿のため、表情から伝わる情緒性や演出感をうまくカットできているところがお上手だと思います。
「雪山の相貌」 有阪博通 山岳写真を組み合わせるのは案外難しいものがありますが、微妙な色合いとトーンを中心にスケール感を想像させるそれぞれのフレーミングが見事です。 暗部をこうしてしっかり描いていくことで、雪山の美だけでない厳しい相貌も写真を見る人に感じさせます。
「Birth」 吉田信正 具体的にどのようなセッティングで撮影されたのか情報がないのでわかりませんが、室内で何らかの液体や水を組み合わせて撮られていると思います。 フイルムで撮るのに比べ、結果がすぐに見えるデジタルカメラならではの表現の一つ。 とても美しいイメージです。
「初冬」 池田義和 同じようなポーズと表情でちょこんと雪中に座る二匹は、まるでどこかの遊園地で売っているヌイグルミのようで可愛いですね。 そういう気持ちで接したからこその一枚になっています。 雪の白さとトーンももう少し欲しかったところです。
「ヤッタネ!」 齋川春江 つぶらな瞳にキヤッチライトも効いてこれもまた可愛く撮れています。 プリントは背景の緑色に統一されてはいますが、リスにちょっとした緑カブリも見られます。 ここの部分の色をもう少し整えることで、さらに主役の毛並みなどが印象的なものになっていくでしょう。
「信号が変わらぬうちに」 吉田義一 なかなかオシャレな写真です。雨の横断歩道と信号という設定もドラマチックですが、女性の足元がそこに加わり、都会の情感を盛り上げていきます。 タイトルもそこから閃いたものと思えますが、よく似合います。 信号の3つの色が識別できるところもお上手です。
「孫の自転車」 森口菊枝 インドやバングラデッシュなどの下町で撮られた写真でしょう。 小さな自転車修理屋さんは私たち日本人でも懐かしいものがあります。 そこにビンク色の子供の自転車。 この男性のお孫さんと思わせるところがドラマチック。 個性的な色合いと相まって独自の表現となっています。
「早天の朝」 白石紀子 あまり「夜明け」という感じはなく、むしろ真夜中の散歩にストロボ光で浮かび上がる「オプジェ」という感があります。 そのモノ化した被写体と向かい合っているという「構図」がいいですね。 どう写るのか、なぜ写すのか。 そんな問いかけこそが皆さん共通の課題です。 準特選のページへ
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