講評　　齋藤　康一（写真家）

埼玉県知事賞　｢夜明けのポエム｣　船生利雄

　「早起きは三文の得」と申しますが船生利雄さんは三文どころか見事に知事賞を受賞されました。右側の大木と左側には二匹の犬を連れた散歩姿、その動きも良いし、夜明けの色調の中に朝日の輝きも霧の中に入れ込み、その雰囲気を盛り上げ、静けさの中に実にバランスの良い画面を描き上げています。

全日写連関東本部長賞　「富士に降る星」　上原やす史

　画面の下辺に富士山を入れ、オレンジの色調をきかせながら星の流れで見事に画面を覆い美しい世界を描き出されました。フレーミングの良さも有り安定感の有る作品に感心致しました。ここに至る迄の大変な努力に頭の下がる思いです。

朝日新聞さいたま総局長賞　｢こんにちは｣　神立雅春

　バックのトーンをきれいに見せながら蓮の上に二羽のカワセミ、その動きはまさにタイトル通り「コン二チワ」と挨拶を交わしている感じ、見ていると仄仄とした感じに包み込まれて行く様な気が致しました。

全日写連埼玉県本部長賞　「青春の午後」　内山妙子

　成人式会場でしょうか、階段を登る途中で友人に呼び止められたのかも知れません、手前の影を含め何か歩く度に音の出る階段の上でまるで遊んでいる感じがして何とも可愛らしく、リズム感のある動きも良いと思いました。

全日写連埼玉県本部委員長賞　「雨雫花薄命」　池田義和

　暈したバックの桃色に対して葉の入れ方や雫の数も丁度よい上に下辺の大きめな雫に写り込んだ花を明確に見せ画面全体を実に美しく見せてくれています。普通ですと花の数を多く見せたくなる気もするのですがバランスの良い寄り方をしたと思いました。

さいたま市長賞　「一日の終り」　小林千津子

　一番上の写真が何となく気になります、左の樹に対して子供がもっと右に居てくれたらば四枚のバランスがもっと良かったと思いました。「一日の終り」とのタイトルに対して何となく納得できる感情がこもっている作品に引かれる思いがありました。

埼玉県議会議長賞　「まだまだ元気」　保科幸裕

　何か楽しいなあと言った感じ、たぶん旅先で出会ったオカーさんでしょう、干した烏賊（いか）の間から顔を出してもらったのでしょうが撮る人撮られる人のコミュニケーションが感じられ、楽しいなあー、バランス良い画面への入れ込みと思いました。

埼玉県教育長賞　「花吹雪」　門倉一

　祭も最高潮と言った感じ、少女達の笑顔に対してのナイスシャッターチャンス、花吹雪もピタリと決まったし、画面全体の賑わいが何とも良いなあと思いました。
それにしても物凄い花吹雪でしたね。

さいたま市議会議長賞　｢天使のペンダント｣　堀江正次

　目の付けどころの良さと言えましょうか、黒いバックに対し、浮き上がる様に見える蜘蛛の巣模様に黄緑の草を合わせ方、よくぞこの被写体を見付け作品としての形に残したと感心致しました。

さいたま市教育長賞　「少女参拝」　堀之内稔

　赤いコートを着け両手を拡げ走る少女、雪の中なので足跡も目立ち、社殿も真正面からなので形も良く、屋根から落ちる雪に対しても実に見事、実の処あと二歩くらい少女が手前だったらなあーと思いました。

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