講評 芳賀 健二 (ニコンイメージングジャパン、ニコンカレッジ)
「魅せられて」 鈴木博子
黒い背景の所に、白い孔雀という組み合わせに目を引かれると同時に、羽根の質感と形の美しさはとうてい人間の手では作れないすばらしさです。
被写体を見つける目と、作品に仕上げる力をお持ちです。
「十二人の怒れる男たち」 佐々木康益
木目を丹念に見続けて、見つけられた物を、組写真として重層的に仕上げたことが、印象をより強くしています。
タイトルもユニークで「なる程」と思わせる面白さがあります。
「残照」 二平茂美
計算された撮影の時間帯と切り取り方で、額縁のような構図が魅力的です。そこに計算外の鳥の一群が入ったことで、静と動と対比になりました。
「写真の女神」に感謝でしょうか?
「ゼブラ」 山原敏子
光の当たり具合、大胆な画面構成、適格な露出補正とシャープなピントによる質感が見る側にストレートに伝わる作品です。遠くでなくても身近に被写体があるという好例でしょう。
「家路」 鈴木孝雄
黄昏時の微妙な時間の狭間は、いろんな事を考えさせるのかもしれません。人、街、電車などで「家路」のイメージを上手に伝えています。
一番下の1枚は、無くてもいいように思います。
「放て夕空へ」 戸津井直次郎
行事のピークはよく見掛けて作品にしずらいものですが、青みの残る薄暮の空に放す、火の付いた矢の明かりがとても印象的です。最高のシャッターチャンスだと思います。
「禊ぎ」 配島良武
滝に打たれる男性を正面からストレートに撮られた力強さを感じます。水の様子なども臨場感があり迫力満点です。
「朝光」 藤平勝義
林間に射し込む朝の光がとても美しいのですが、よく見ると手前に霧氷の付いた木があります。この木と見ているとだんだん味の出て来る作品です。
「ゆめごこち」 増田益子
思わずニコリとしてしまうような猫の表情と動作です。左側から光の当たり具合も良く、ひらがなのタイトルも、増田様の被写体を見るやさしさが伝わります。
「初冬の朝」 森川光江
風景写真のまさにゴールデンタイムです。霧が下りてモヤの流れる静寂なススキの原を適格な切り取り方でまとめています。露出も申し分ありませんし、ポツンと入れた人物が効果的です。
講評 戸井田武彦 (全日本写真連盟 理事)
「ぬくもり」 一瀬邦子
自然の厳しい冬の一場面、母ザルに抱かれているのか、母のぬくもりが子ザルに伝わって心温まる作品である。光の扱い方も秀逸である。
「メランコリー」 庵地紀子
古びた壁の家屋の広いガラスに映る風景そこに住む人々の情景が伝わる作品で、前を歩く犬の姿がなぜか心に残る不思議で印象的な写真である。
「道化師」 大澤英治
モノクロでの表現のすばらしさを十分に発揮している作品である。道化師の様に見える葉を落とし、白く浮かび上がる大木を巧く表現しており、まさにモノクロならではの上手な表現である。
「夢のファンタジー」 齋藤久子
巧い作品だ!上部に北極星を中心に捉え、長時間露光で星の光跡を半円状に入れ、下部に昼間は大勢の人々で賑わうであろう公園を配置し、バランスのとれた「夢のファンタジー」そのものである。
「秋の彩り」 大石茂
空の青、秋色の樹々大自然の素晴らしい風景、スケールの大きさに圧倒されそうである。垂れ込めた雲は、つい今し方まで雨が降っていたのだろう。見る者の心に残る「秋の彩り」である。
「光のカーテン」 山崎弘英
天地創造か神々の存在すら感じさせ、見る者の心に強烈な印象をあたえる。左上部から斜めに差し込む赤の交じった光、巧く強調されさらに良い作品になった。
「朝霧の収穫」 岡部美智子
こどもを育てるように大切に育ててきたであろう高原野菜、朝霧の中での収穫、長年連れ添い、言葉を交わさずとも気心知れたおだやかな夫婦の愛さえ感じさせる心あたたまる作品である。
「蓮の詩」 小山憲一
組み方によって印象が良くも悪くもなる組写真、それが組み写真は難しいと言われる理由だが、この写真に限ってはスッキリした組み方で蓮の美しい詩が聴こえてくるようだ。
「OPENING」 杉本純子
今からどのようなパフォーマンスが始まり客席にはどんな人々が座るのか、中央のパフォーマーに暖色のライト、まわりに青いカーテンのようなライト、ワクワクするOPENINGである。
「下町の鼓動」 天野宏
聴こえる歓喜の声、大ぜいの掛け声、熱気神輿を対角線上に置き動きを表現、ハッピ姿の人々、写真を見ただけで感じられる下町の生き生きとした鼓動、巧い。
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