講評 梶山 博明(ニコンイメージングジャパン)
「修行の仲間」 青木 秀茂
若い修行僧たちの動きの瞬間を上手く捉えて良い作品に仕上げています。左手前に向かってくる僧と右上で待機している僧のバランス良く配置され構図的にも良くまとまっています。光る廊下や障子越しの光が特に印象的です。
「慈愛」 大野 正晴
雪の日の親子ザルが画面いっぱいに配置された無駄のないデザイン的な構図が新鮮です。左隅の物体が何か不気味でシンプルな構図の中で良いポイントになっています。シャッターチャンスも抜群で動きを感じさせる魅力的な作品です。
「雨」 坂本 典子
狭い路地裏に降りしきる雨の様子がよく表現された臨場感あふれる作品です。カラフルな両サイドの傘と中央を走るバイクの配置が巧みで、少し遅いシャッタースピードとカラフルな背景で雨の量感も充分表現されています。
「晩夏」 古峰 昌子
夏の終わりのひまわり畑の物悲しい様子が伝わってくる情感のある作品に仕上がっています。斜めに配置した手前のひまわりをストロボで浮かび上がらせたテクニックが効いています。露出も太陽の位置も適当で良い作品です。
「女子会」 小林 礼子
街中のスナップですが、とても楽しそうな雰囲気が伝わってくる良い作品です。背景と登場人物とのバランスが良く、特に中央の女性の色彩が効いています、人物の足元をもう少し入れればさらに良くなると思います。
「賢者の勇姿」 斉藤 嶽堂
飛翔をくうちゅうで捉えた抜群のシャッターチャンスと正確なピントがこの写真の魅力です。黒バックに白い撮りという組み合わせで視覚的にも強い印象を与える良い作品に仕上がりました。
「春嵐の跡」 寺田 紗恵子
水たまりを大きく撮り入れた画面構成が印象的な良い作品です。桜の花びらと同じ色の少女がよい場所に配置され、ポイントとなっています。人物のすぐ上で背景を省略したことは画面が煩くならずに適切でした。
「光のグラデーション」 前田 暉史
空を彩る光のグラデーションを丹念にとらえた努力が上手く3枚の組写真で表現されています。微妙な色彩が良く露出コントロールされて爽やかな印象の良い作品に仕上がりました。中央の写真を組み入れたことも成功でした。
「鯉の紅葉狩り」 唐弓 幸一
色彩の美しさにビックリした印象の強い作品です。紅葉の映る水面を泳ぐ鯉の群れの動きが静かな画面に動きを与えて良い作品になりました。縦位置の画面構成もこの場合は適切でした。
「明かり灯して」 宮川 綾子
少し重たい題材ですが、少女の存在がホッとした気持ちにさせられる良い作品です。全体に暗いトーンの中で蝋燭の明かりがポイントとして聞いていますが、露出を少しだけ明るくして少女の横顔が見えるとさらに良くなったと思います。
講評 工藤 武夫(関東本部委員)
「帰り道」 大坪 弘人
日常性に気づきそれを克明に撮れば、それなりな魅力あるテーマではあるが、撮影者はストレンジャーでもあるが奥行きのある道を意識的に盛り込んむことで状況描写が効果的でした。左奥に見える店も効果をあげています。
「カワセミ」 竹内 永三
カワセミは絵になる被写体ですがそうはいっても思い通りの条件にならないもので、共すれば累計とも思われるようなところもある中、竹内さんは、他と違って被写体を的確な技術で実にタイミング良く写しとられて背景も良く何度も通って出合った日なのでしょう
「成人の日」 中田 貴之
古い店先でしょうか、晴れ着を着た息づかいが伝わってくる一枚です。ストロボを使ったと思いますが少し強かったでしょうか魅力的な背景の雰囲気が感じられない点が惜しいです。
「夕暮れ時」 岡部 美智子
レトロな感じの店、夕暮れ時の下町情緒がしっかり写っていて雰囲気が感じられます。店頭での会話が伝わってくるようです。左の電信柱はカットしたいですね。
「大地の彫刻」 國田 信美
冬の山影が美しい雪模様をうまく一枚に収められました。このような対象を理解に基づく表現の独自性、鑑賞者を納得させる技量が必要となる。その点で國田さんの感性のよさを感じさせられました。
「火焔愕走」 西澤 政好
野焼きをしているのしょうか、その炎が水面に反映して思わぬハプニング、それを逃さず撮ることが出来た幸運の一枚ですね。その状況の中で幸運にも、白鳥が飛び込んできた最高の瞬間を重厚感を感じる良い作品です。
「一生の想い出」 小谷 和己
一見何気なく見えるが、実によくアングルを吟味している。成人の日が雪日だった事で、背景をすっきりと見せている。ピンク色の傘と風に流れる袂の位置がタイミングよくが画面効果を上げ雰囲気を漂わせた姿をうまく演出しています。
「MY ROOM」 杉本 純子
雑然と置かれたおそらく物置小屋かと思われる。窓越しからの光が程よく部屋にこぼれ、的確にとらえられている。ポイントになる猫が背景と同色なのが惜しまれる。
「灯籠流し」 矢部 昭八
青空の色が残る夕暮え、思いを込めて流される伝統ある盆の風景を写しとられ、水面を行く灯籠の遠近の付け方がうまく、これ以上のポジションは望めない作品だと思います。
「小さい助っ人」 岡部 蝶子
仕事場でしょうか、鉢巻きをした孫とおじいさんの形状をしっかり写し、じっと見つめる孫さんの視線や無邪気な表情が最高です。幸せで楽しそうな家族の絆を感じさせる心が和む作品です。
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