講評 梶山 博明(ニコンイメージングジャパン)
「好物」 川嶋 博「好物」 川嶋 博
赤い実をつけた枝とメジロとのバランスが素晴らしいとても力のある作品です。構図的にもシャッターチャンス的にも申し分ありません。また、バックが黒くつぶれたこともこの場合は効果を発揮して良い作品に仕上がりました。
「ハイ・ポーズ」 羽田 英子「ハイ・ポーズ」 羽田 英子
映画の一場面を見ているような雰囲気のある作品です。馬、老人、そして子供がそれぞれ違う方向を向いていることが効果を発揮して自然な感じになりました。僅かに曲線を描くみどりの丘と青い空に浮かぶ白い雲が良いアクセントになっています。
「ニューファッション」 森川 光江「ニューファッション」 森川 光江
センスの良さが光る大変におしゃれな作品です。桜の淡い色彩を邪魔する強い色を画面から排除したことが成功の原因だと思います。ハイヒールの動きの瞬間を良く見たシャッターチャンスの良い作品ともいえます。
「一閃の光芒」 米屋 進「一閃の光芒」 米屋 進
画面の中に太陽を入れた構図が功を奏し、スケール感と雰囲気のある良い風景作品になりました。露出も適切で美しい色彩が表現できています。太陽を画面に入れることは大変難しく多少冒険になりますが、今回は大成功でした。
「体験学習」 船生 利雄「体験学習」 船生 利雄
カメラ目線の一人の子供がとても良いアクセントとなっています。大木と子供たちとの組み合わせのバランスがよく奥行き間を感じる良い作品となっています。色彩を省いてモノクロで表現したこともこの場合は効果的で雰囲気が良くなりました。
「外の世界」 弘中 美智子「外の世界」 弘中 美智子
工事現場の覆いの洒落た飾りと入口からチラリと見える人物のアンバランスさを作品にしたセンスの良さが光ります。斜めに入る電線の影でしょうか、この影がとても良いアクセントになり画面に動きを感じさせる効果が出ました。
「春の耕地」 山本 孝一「春の耕地」 山本 孝一
畑の光るラインが強いインパクトを与える力のある風景作品になりました。右下の作業をしている人物の配置が絶妙で手前から奥に目線が誘導される良いポイントとなっています。縦位置で捉えた構図がこの場合は大正解でした。
「過疎の暮らし」 小沼 敏夫「過疎の暮らし」 小沼 敏夫
被写体を温かな目で見つめている様子が4枚の作品から共通して伝わってきます。2枚目の室内に煙が漂う作品と3枚目のおばあさんを俯瞰した作品に生活感が良く出て雰囲気のある組写真に仕上げています。
「有終」 庵地 紀子「有終」 庵地 紀子
朽ち果てた木の上でさえずる小鳥が目に飛び込んでくる力強さのある良い作品です。バックが暗く落ち着いた雰囲気の中で小鳥の周囲だけを明るく表現できたことがドラマチックな作品になった原因で、構図の旨さも光ります。
「お手伝い・・・」 野口 稔「お手伝い・・・」 野口 稔
とっさのシャッターチャンスを生かした動きのある良い作品になりました。右の少女にピントを合わせたことで主役がハッキリと判ります。画面の真ん中ではなく右端に主役を配置した構図がスケール感を表現するのに役立ちました。
講評 工藤 武夫(関東本部委員)
「祈願」 山原 敏子「祈願」 山原 敏子
よく見かける、火渡りの光景ですが、後ろでホロ―する山伏の表情や子どもの対比が素晴らしく、躍動をも感じられカメラのポジションも良く、衣類に火が付くかに見えるのも好奇心にあふれていておもしろい。
「ほっこりしちゃうなあ」 吉川 和美「ほっこりしちゃうなあ」 吉川 和美
なにげない写真に見えますが、その表情がいいですね。軟らかい光の中、過去や未来を想像させる温もりある安らぎを感じられる良い作品だと思います。
「歓迎」 渡辺 道雄「歓迎」 渡辺 道雄
若い頃、野辺山高原を行く小海線に噴煙を上げて走るSLが切っ掛けで、写真を始めた仲間もいます。暗く落ちた唐松の背景で、走るSLが魅力的で好感が持てます。それに、三羽の鶴の姿を抑えた腕前に敬意を払います。
「雅やか」 中田 光雄「雅やか」 中田 光雄
朝日を浴び始めた花びらと川面のブルーが、朝のすがすがしさを感じさせ、ちょっとした視線にも素敵な朝がまだまだ日本にはありますね。常に撮影を意識している姿勢から生まれた作品ですね。
「霧の中へ」 富田 秀子「霧の中へ」 富田 秀子
霧の降りた堤、過ぎて行く光の元へ吸い込まれてしまいそうな神秘的な光景を、実によくアングルを吟味して対象に迫り、慎重に捉えた作者の心と緊迫がひしひしと伝わってきます。
「走」 福井 秋廣「走」 福井 秋廣
ホームを走る少女。じっくり考えるというより瞬間的に撮ったのでしょうか。左の止まっている列車、走り去る列車。その中央を駈け出す瞬間を逃さず切り取り、タイミングの良い素晴らしい作品になっています。
「トワイライト」 野崎 英一「トワイライト」 野崎 英一
夕景が垣間見せた繊細かつドラマチックなシーン。ブルーの背景に点在する灯を反映して浮かび上がる町の情景が映える。完成度の高い作品です。
「孤高」 加藤 勝彦「孤高」 加藤 勝彦
トンボとか蝶は好まれる対象の一つで、朝露の頃は羽が乾くまで落ち着いて撮れるのでチャンスをものにしやすい。だがこの作品は背景のボケと柔らかい日差しで配色が美しく、観察力の確かさセンスの程がうかがえる良い作品だと思います。
「未来への架け橋」 岡部 美智子「未来への架け橋」 岡部 美智子
少女の笑顔から思う願いが伝わってくるような印象的な作品です。手に架け橋を見せ、未来へ向かって飛躍して行きたい、静かな中に秘めた心情が伝わってきます。
「フィナーレ」 福田 かつ子「フィナーレ」 福田 かつ子
西日の頃、背景色の美しい中、自由な発想のもとに表現された作者の感性に、見る人にデリケートな空間を持って表現した、魅力ある作品だと思います。
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