講評 小野崎 徹
「川霧立つ」福田 年男「川霧立つ」
福田 年男 (上尾市)
富士山、舞う鳥、川霧と三拍子そろった滅多にないチャンスを見事にとらえています。まるで想像の世界のような風景を現実に写真で表現しています。鳥たちの舞う姿がとても優雅で、いいシャッターチャンスです。
「豪雨の一日」横谷 廣夫「豪雨の一日」
横谷 廣夫 (上尾市)
まさに滝のような豪雨。小さな桟橋は今にも流されそう。こんなときは雨雲が通り過ぎてくれるのを待つしかなさそうですが、組写真に取り組んだ意欲は立派。最後に虹も出て、ほっとした救いを感じます。
「雨上り」佐々木 節子「雨上り」
佐々木 節子 (川越市)
雨に濡れて黒々と光る樹の幹になんともいえない存在感があります。単純で力強い構図が生命力を表現しています。周囲はまだ細い木ばかりのようですが、いい被写体に巡り会えたのですね。
「連結解いてこれから産卵」福岡 省三「連結解いてこれから産卵」
福岡 省三 (三郷市)
ウチワヤンマが交尾して産卵行動に移るまでの連続写真。オスは自分の縄張りに入ってきたメスを捕まえ交尾する。目にする機会が少なくなったトンボの生態をいい構成で見せています。メスはうまく卵を産めたのだろうか。
「朝焼け」米屋 進 「朝焼け」
米屋 進 (所沢市)
太陽が顔を出し、山々を朝焼けに染めた一瞬は珍しくないが、手前の水田に映り込むことを計算して撮影位置を決めたのは素晴らしい。まだ暗い平地の中で、燃え上がっているような田んぼが印象的です。
「祈り」小澤 英敏「祈り」
小澤 秀敏 (加須市)
姿勢を正して立つ男性は願い事をしているのだろうか。赤ちゃんを抱いているのは父親だろうか。それぞれの姿に日常の「祈り」の形が写し出されています。柱と階段、縦横の線の中で人間の存在が浮かび上がっています。
「お道化るフィッシュマン達」鈴木 誠治「お道化るフィッシュマン達」
鈴木 誠治 (毛呂山町)
タイトルからは想像できない勇壮な祭りのクライマックスです。逆光に浮かび上がる水滴が美しい。水中の男衆を「フィッシュマン」と見立てた作者の視点がもっと反映されてもいいような気がします。
「蓮華変容」柳川 忠「蓮華変容」
柳川 忠 (春日部市)
蓮華が咲いて散るまでを時間を追っていますが、1枚1枚の作品がしっかりしていて見せ方が上手です。5枚並べてもくどく感じないのは、光線状態に気を遣っているからでしょうか。
「踊る彩り」高塚 光美「踊る彩り」
高塚 光美 (久喜市)
色とりどりのあじさいと階段を駆けおりる子ども達。寺院の静寂の中で躍動感がはじけるようです。スローシャッターで子どもの動きを強調したのが効果をあげています。
「雪晴れ」鈴木 良子「雪晴れ」
鈴木 良子 (川越市)
雪雲が去り、晴れ間が戻ってきた。両側のくすんだ建物と正面の明るい色の壁、薄く積もった雪、青空に高い雲、それぞれのバランスが良く、さりげないひと駒ですが、ホッとするものがあります。
講評 米岡 一憲
「雛のおもてなし」横田 和男「雛のおもてなし」
横田 和男 (さいたま市)
商店街の雛祭りでしょうか。白酒をすくう女性と、それを飲みながら店番をする男性を写すことで、この一日の様子をうまく表現しています。
「終章」北村 照子「終章」
北村 照子 (川越市)
解体された車のボディが主題ですが、全てを見せない画面構成がいいですね。壁の向こう側はどうなっているのか興味を引きます。
「給水所」田沼 清昭「給水所」
田沼 清昭 (北本市)
路面に散らばった紙コップが、過ぎ去った時間をよく表現しています。先頭グループからは程遠いようですが、それでもあきらめずに走る姿が心を打ちます。
「野の語らい」秋山 栄「野の語らい」
秋山 栄 (加須市)
雄大な風景のなかから新緑とレンゲツツジのオレンジと、ワタスゲの白を絶妙のバランスで切り取っています。あえてクローズアップにしないところがよかったです。
「冬景色」土屋 弘美「冬景色」
土屋 弘美 (越谷市)
色彩に乏しくなりがちな冬の季節ですが、ところどころに色を配置することにより、画面にメリハリが出るとともに、雪の白さも際立っています。
「希望託して」古峰 昌子「希望託して」
古峰 昌子 (加須市)
カラフルな鯉のぼりが画面の周囲を彩っていて、まずそこに目を引きますが、真ん中に位置する職人さんの動作が、文字通りこの写真の要となって動きを表現するとともに画面全体を引き締めています。
「スタートダッシュ」齋藤 たつみ「スタートダッシュ」
齋藤 たつみ (伊奈町)
三羽の白鳥が飛び立つ瞬間を、まるで連続写真のように見事にとらえました。水面の映り込みで画面を分割する構図も見事です。
「家路」船生 利雄「家路」
船生 利雄 (川越市)
子どものころの記憶を呼び起こすようなステキな写真ですね。石畳の全面に夕日が差している時間帯を狙ったので長い影がさらに効果的に描写されました。
「やじろべえ」伊藤 香世子「やじろべえ」
伊藤 香世子 (さいたま市)
吊るされたTシャツの傾き具合をやじろべえに見立てたのでしょう。大きさの違いから親子のように見えます。さりげない一コマですがほのぼのとした気持ちにさせられます。
「兄ちゃん待って」登内 芙美子「兄ちゃん待って」
登内 芙美子 (さいたま市)
公園やプールのような遊び場として指定された場所でなくても、したたかに遊びを見つける兄弟。微笑ましくもあり、力強さも感じさせる子どもの写真だと思います。
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