講評 梶山 博明(写真家)
「空中遊泳」 髙宗 南海彦
カラフルで動きのある被写体の良い瞬間を的確なタイミングで捉えた素敵な作品です!ポイントとなる足の動きが黒い背景に配置されたことも効果的でした。リズミカルで楽しい作品に仕上がりました。
「一緒に飛び立つよ!」 小幡 宏
二羽の鳥の目線が一致した絶妙なタイミングで捉えた優れた作品です!曲線の枝と背景下部の光が画面に広がりを感じさせる効果を与え、やや中央に寄った鳥とのバランスを整えています。空中での鳥の目のピントも確かで見事です。
「余生」 小沼 敏男
日常の生活風景を淡々と組み合わせた雰囲気溢れる作品に仕上がっています。特に2枚目の前を向いた人物と3枚目の奥に向かって脱いだ履物の2枚の組み合わせが素敵な奥行き感を描写しています。
「寒気の蓮池」 小川 芳明
冬の蓮池で見つけた氷の造形を見事な作品に仕上げています!氷の表面の反射をコントロールする事により様々な色彩の表現に繋げたテクニックは流石です。2枚目の涸れた蓮の色彩も良いポイントになっています。
「滝を舞う」 土屋 強
豪快な滝の流れとイワツバメの飛翔を組み合わせたスケール感溢れる良い作品に仕上がっています。動きの速い小さな鳥を滝の流れの中で的確に捉える事は本当に大変だったと思います。努力が実った素晴らしい作品です。
「眼差し」 樋口 晴彦
鳥たちの眼差しをテーマに素敵な作品に仕上げています。真ん中の3羽の鳥の眼差しが特に印象強くユーモラスでもあり1枚写真でも成立する強さのある素敵な作品です。目にしっかりとしたピントが有るのも流石です。
「早く帰らなくちゃ」 又賀 義信
メルヘンを感じさせる素敵な作品に仕上がっています。同時に非日常感と恐ろしさも感じさせる不思議な作品です。やや荒れた色彩表現もこの作品の非日常感を強める効果を発揮しています。
「エアーライン」 吉村 洋
空一杯に入れ込んだ光跡がダイナミックで力強い作品に仕上がりました。夕暮の空の雰囲気が残る時間帯からの撮影で雲や上空の色彩が表現されて素敵です。縦位置での構図を選択した事が奥行き感を表現出来て正解でした。
「井戸端会議」 山口 欽一
水辺のペリカンの姿を俯瞰撮影した事でユーモア溢れる楽しい作品に仕上げています。画面の中心に四羽のクチバシを配置した事で作者が感じた井戸端会議の雰囲気が良く表現されています。
「店仕舞い」 吉田 義一
真正面から捉えたカメラポジションが良く、登場人物の魅力を旨く引き出せている優れた作品です。左足先が動きを感じさせ画面に迫力を加えています。背景の取り入れ方も見事で街の雰囲気が伝わってきます。
講評 小野崎 徹(関東本部委員)
「オーラ」 東海林 陸夫
祭り衣装でつま先から両手の指先まできっちりポーズを決め、全身で強烈な気を放つ女性。構えた両手、視線、水の勢いまでがすべて同じ方向を指し、緊張感があります。作者の表現力と女性の表現力がマッチした作品と言えます。
「養蜂」 海老原 郁夫
元気よく飛び回るミツバチの羽音が聞こえてくるようです。素手で作業しています。ミツバチとの間に信頼関係があるのだろうなと想像したくなる作品です。春の風物詩のようですが、高齢の方が養蜂を支えている現実も写しています。
「流氷の王者」 熊代 惠子
小さな流氷にちょこんと乗っかったオオワシを挑発するように飛来したオジロワシ。上を気にするオオワシの表情が何とも言えない愛嬌があり、これから始まる厳しい生存競争の中のホッとする一こまです。
「その瞬間」 栁川 忠
火縄銃発射の瞬間、燃えた火縄や火薬の燃えかすが飛び散る。思わず目をつぶっても姿勢はしっかり保ったまま。ベテラン射手の見事な武者ぶりがうかがえます。祭りの雰囲気がわかる背景の処理もいいですね。
「激走」 西澤 政好
まだ暗い水面から白鳥が飛び立つ瞬間を早いシャッターでとらえています。低い太陽の光が水滴や湖面を金色に染め、幻想的な光景となりました。静と動のコントラストも良く、光線の効果を生かした作品です。
「順番よ」 戸田 利一
自分の体長に劣らない大きなトンボをくわえて帰ってきた親鳥。自然界で繰り広げられる、命を繋ぐいつもの光景かも知れませんが、親子をめぐる暗いニュースの多い昨今、考えさせられます。
「銀座模様」 花島 敏夫
良く考えられた撮影位置、陰と陽、映り込み、影の出かたまですべて計算が行き届き、見慣れた場所が違った風景に見えてきます。黒い床、左右のガラスや天井の額縁効果で奥行きのあるジオラマを見ているようです。
「家庭の味」 岡部 美智子
自家製のこんにゃくを茹でようとしているのでしょうか。仲良く作業する夫婦の視線が手元に集まり、しっかりとした構図を作っています。必要にして十分な背景、写り込んでいる道具類に昭和の郷愁を感じます。
「語り継ぐ」 岡部 蝶子
秩父地方は地芝居が盛んなだけでなく、しっかり伝承されています。舞台写真を見せながら経験を語るおじいさん。目を輝かせ真剣に耳を傾ける表情。世代を超えて受け継がれる場面を反逆光でうまく捉えています。
「馬だって笑う」 佐々木 美津子
シャッターチャンスが良く、本当に笑っているように見えますね。背景の切り取りかたが巧みで、手前の馬の表情が際立っています。遠くの木立や牧草の緑も雰囲気を盛り上げています。
奨励賞のページへ
|