第34回埼玉県写真サロン入賞作品

2017年

準特選

2017年 写真サロン

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講評 芳賀 健二(ニコンイメージングジャパン) 

j01.jpg「禊川」 川畑 秀也

 祭りの写真は、記録的,紹介写真的になりやすいのですが、そんな中に撮った方の個性のような物が入れられると作品になると思っています。
 フラッシュで動きや水の様子を止めたことにより、迫力が表現出来て、力強い作品になったと思います。


j02.jpg「奇岩夕景」 小池 正臣

 場所と撮影のタイミングがいいと思います。やや青みがかった色調と不思議な形の岩はそれだけでも充分絵になりますが、赤味のある空との対比が良く、加えてスローシャターによる波の描写が効果的でした。


j03.jpg「火の鳥」 檜和田 浩一

 人間の目では、けっして見ることが出来ないスローシャッターでの光の表現にポイントを絞ったのが成功しています。一枚写真では弱いのですが、3枚の組写真で、色や形のバリエーションをもたせたことが、良かったと思います。


j04.jpg「雪に舞う」 荒井 文治

 何羽かのヒヨトリの動きを高速シャッターで止めた魅力が感じられます。雪や光の条件も良く、望遠レンズで切り取ったのも成功しています。


j05.jpg「森の響き」 新井 房子

 近景、中景、遠景とバランス良く配置したことで画面に奥行き感が表現出来ています。
 光こそ強くありませんが、天候の変わるしっとりとした日本らしい光景が的確に表現されている感じです。シンメトリー的な構図もいいと思います。


j06.jpg「荒海」 小林 伸一

 画面の合成かと思いますが、鳥居と波だけでは、やや平凡でしたが、雷光と組み合わせたことで、何か神神しさのようなものが表現出来ています。最終の形をイメージした画面作りが成功しています。


j07.jpg「不敵な笑み」 松澤 廣和

 迫力ありますね。逆光での猿の毛のキラキラ光っている様子と、カメラの方を向いた瞬間をキッチリ押さえています。余分な物を一切入れていないで、画面から飛び出しそうにまとめた切り取り方が絶妙です。


j08.jpg「シルエット」 山崎 博

 大きく汽車を撮って力強さを表現することもありますが、この上部の空間の扱い方が、画面の広がり感や自然の大きさを想像させてくれました。対角線で配した太陽と汽車の位置関係がいいですし、左側の小さな木もワンポイントとして成功です。


j09.jpg「雪中神事」 小林 敏征

 後ろ姿の男性から神事の緊張感のようなものが伝わって来ます。 シンシンと降る雪、動かない男性の姿、山車とどれが欠けても作品にならなかったかもしれません。残したい日本の光景です。


j10.jpg「俺の獲物」 菊地 博子

 作品の一部であるタイトルは、もう少し違うものを付けられた方がいいと思いますが、選ばれた男性のフオトジェニックな面白さとインパクトは、印象深く感じました。
 顔に当たる光の具合と魚を食べた瞬間を適確に押さえています。


 講評 宮崎 文雄(全日本写真連盟関東本部委員)

j11.jpg「いつもの場所」 菅間 勇

 有効に取り入れた周囲の現実的な環境のなかに、じっと佇む猫の存在感が際立っています。広角レンズの特性を生かして、長閑な風景の中にも、忍び寄る危機感、不安感をも画面から感じとれる社会性のある作品に仕上げています。


j12.jpg「薄化粧」 配島 良武

 雨の雫で薄化粧されたかのような紫陽花を効果的な背景を選び詳細に表現する事で、よりその美しい花の存在感を高めている作品です。難しい条件ながらも繊細な色調も良く表現したメリハリのある美しい仕上げです。


j13.jpg「男の祭り」 砂田 正義

 はじけるような姿態と笑顔、祭りの一場面以上に、その奥にある人の本質の深層に迫ったような作品です。それぞれの動きのベストな一瞬が捉えられ、色調、構成、背景共に素晴らしく、人間をアートの領域にまで昇華させています。


j14.jpg「ドリーム」 若井 良広

 二羽のサギが際立つ背景を選び、それぞれが最適なポジションに位置しての動きの変化ある一瞬を見事に捉えています。青みがかった深い色調の中に二羽の存在感が強調されている夢の中のような世界をも醸し出しています。


j15.jpg「飛翔」 佐々木 成一

 晴れ渡った空に奔放に空間を切り裂き飛翔するダイナミックな動きの構成が眼をひきます。静かな山並みと漂う雲によって静と動の見事な対比を見せ、3枚の画面を有効に使った躍動感あふれる表現が効果的です。 


j16.jpg「瞳」 坂本 典子

 水から顔を出した所でしょうか、じっと見つめる奥深い瞳の擬人的表情に逆立った頭髪、このサルが何を思い、何を言わんとしているか色々と考えさせられます。主題に有効な背景を選びピントも良く鮮やかに表現している作品です。


j17.jpg「今昔」 鈴木 博子

 存在感のある肌と無機質な面。面によって感情や過去が閉じ込められ現状を拒否している反面、何事にも動じない意志の強さをも併せ持っているようにも表現されている、人の本質に迫った作品です。このテーマにふさわしい色調です。


j18.jpg「春の舞」 大澤 英治

 風が満開の花を揺らす一本の桜の存在感がモノトーンの画面に際立っています。
適切な露光により風の動感がよく表現されていると共に、特徴的な枝ぶりが強調され、周囲をやや焼き込むことで幽玄の趣きをも漂ってくる作品です。


j19.jpg「霧幻峡」 竹内 永三

 霧に包まれた水面に突如現れたかのような小舟と、霧の切れ間に見え隠れする家並が適度な距離感をもって表現されていて、現実世界からの逃避、夢幻の世界への旅立ちとも想像され、惜別の情感をも感じさせてくれる作品です。


j20.jpg「人生いろいろ」 荒木 ひろみ

 おばあさんの明るい笑顔と地下足袋、何気ない日常の断片を捉えている各カットからは、厳しかったであろう日々と背負ってきた過去の重さが歩み去る背中に漂い、生きる日々の積み重ねの確かな証しが画面から感じられてきます。


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